
青春新書「続日本紀と日本後紀」
前から「図説 地図とあらすじでわかる!」というタイトルが気になっており、青春出版社刊、青春新書の図説シリーズを手に取ってみました。
今回は「続日本紀と日本後紀」(中村修也監修)というものです。
帯に次のように書かれています。
平城遷都、大仏開眼、鑑真来日、薬子の変… 教科書を読むより はるかに面白い、 奈良・平安のリアルな日本!「はじめに」にも書かれていますが、『日本書紀』『古事記』は有名ですが、『日本書紀』と同様に六国史という官撰の歴史書がつくられており、『日本書紀』に続くものが『続日本紀』、『日本後紀』です。どちらかというとマイナーな歴史書ですが、その対象となる時代は文武元(697)年から天長10(833)年と、奈良時代直前から平安時代初期です。非常に変化のめまぐるしい時代を扱っており、実は史料集などの出典としては多く扱われています。
実は『続日本紀』は編年体で諸事を箇条書きに簡潔に記しているものが多いのですが、『日本書紀』が神話の時代から日本の成り立ちを記していることと比べると、公文書を参考にしていると考えられ、史料として信頼されている部分が多いようです。
このシリーズの本は、だいたい見開き2ページ程度で1つのテーマについて記しており、その中にはタイトルにあるように説明されている内容に関連する地図が入っています。ただ、シリーズなので必要なのでしょうけれど、扱う時代的に、奈良や京都周辺のことばかりなので、あまり地図で説明することに意味が感じられないのが残念です。内容としては、面白い時代でもあり、取り上げ方も長屋王の変であれば、サブタイトルに「長屋王排除の背後にうごめく藤原氏の陰謀」とつけられ、吉備内親王についてかなり触れていたりと、興味を引くようになっています。
実際には史料にあたらなくてはならないのでしょうが、そのきっかけとなる読み物としては面白く読めるのではないでしょうか。
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