
「東大のディープな日本史2」
前に「歴史が面白くなる?」という記事を書かせていただきました。たまたま見つけた本で、東大の日本史の入試問題の面白さ・奥深さを伝えようとした本を紹介したものです。
今回は、その第2弾にあたり、タイトルもそのまま「東大のディープな日本史2」です。
同じく東進ハイスクールの相澤理先生の著作で、前回の反響に応えるかたちでつくられたそうです。前回の1作目は正統派の出題を集めていましたが、東大の日本史の入試問題の面白さ・奥深さという点で、通史から離れてより面白さが伝わるような問題を選んでいるのが特徴のようです。
確かに、貨幣というテーマの問題を3つもとりあげ、2007年の8世紀の貨幣の流通に関する問題、2004年の12世紀以降に流通した貨幣に関する問題、そして2000年の金輸出解禁と再禁止に関する問題など、教科書をしっかり読み解き、問題文を読んで解答させる問題など、ディープさがより伝わる感じになっていると思います。特に3つめの金輸出問題というのは、高校生にはなかなか理解できない問題のようで、ちゃんと政治・経済(もしくは現代社会)の内容を理解していないと、どういう問題であるのかを正しく理解できないところがあるようです。単に日本史という科目の枠ではなく、中学で言うところの社会という教科全体が理解できる人を東大はちゃんと求めているのだと思わされていました。
この辺が筆者の考えと異なるところかなって思いながら、読みました。異なるポイントは、筆者がはじめににおいて、
東大入試の本質は<暗記>である(ほかの科目も含めて)というのが、 予備校講師としての結論です。「考える前に覚えろよ」という当然のことを、 東大の先生方もお考えなのだと入試問題から感じます。と記されている点です。論理的思考力だけを求めていないという意味での言い回しなのだと思いますし、共感できる部分もあるのですが、やはり引っかかるというか違うなと思わされます。
東大はやはり考える人を求めているわけで、「考えるために覚えろよ」というのが本当なのではないかと思いました。先ほどの金解禁問題もそうですが、何を覚えるのも、他の教科や科目の内容も、いろんなことを考えるためには覚えろと言っているわけで、求めていることが違うと私は思います。
でも、こういうことも含めて、ディープな世界を知らしめてくれるこの著書はとても面白いと思いました。
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