
弁才天の庚申塔?(新宿区西早稲田1-7)
先日見てきた早稲田大学の近くの観音寺にある庚申塔ですが、新宿区の『新宿区の文化財 石造品編』によると、ここにはもう1つ庚申塔があるとされています。

確かに多臂像で坐像になっているので、青面金剛像のように見えます。ただ、これには前の2つの庚申塔と違って異体字でも「庚申」という文字が見えません。

上部に見えるのは「奉成就」という文字だけです。これだけでは庚申塔かどうか判明しません。
それに、青面金剛坐像というのですが、他のページには弁才天として紹介されているようです。確かに一般的な青面金剛神像の場合は一面六臂で、上部に月日や鶏が配置されていることがおおいのですが、上部に特に月日などもありません。また、よくみると一面八臂で、宝珠・剣・弓矢・金剛杵などをもっています。もともと仏教の守護天として導入された時の弁才天は一面八臂のものが多く武器になる持物が多かったようなので、その特徴からしても弁才天の可能性があります。また、他のWebでは頭上に蛇が刻まれているのが違っているように書かれていましたが、もともと弁才天は川など水にかかわる信仰と結びついており、蛇や龍を使いとすることもあるようで、蛇がとぐろを巻いている姿の弁才天もあるそうです。そう考えると、これが弁才天と考えるのも妥当なのかも知れません。ただ、東京にある弁才天を主尊とした庚申塔は千住のものだけらしいので、それとは違うとなると、ますます庚申塔なのか疑わしくなってきました。
文字としては「貞享 4年」「十月」の文字が見え、貞享 4(1687)年と他の石仏と同様に江戸時代初期のものであることは分かるのですが、私には結局庚申塔なのかということは分かりませんでした。
ただ、この並びの石仏には、こんなものもありました。

これはもちろん庚申塔ではありませんし、二臂で宝珠などももっていないのですが、この片膝を立てて座る姿は如意輪観音像と思われ、珍しいものがみられていたんですね。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。